これから家を建てるなら、耐震等級3 をスタンダードに。住み続けられる家を建てるために必要なこと
見出し画像

これから家を建てるなら、耐震等級3 をスタンダードに。住み続けられる家を建てるために必要なこと

これから家を建てるなら、耐震等級3 をスタンダードに。これに加えて高性能住宅なら災害対策にもなるということ、また高性能な住宅のつくり手を探す取り組みを、構造と省エネのエキスパートの構造塾・堤太郎さんに解説していただきました。※雑誌「だん08」から流用

高断熱住宅専門誌「だん」で家づくりを勉強されている皆さんは
・ 住宅の断熱性能が健康性、快適性、光熱費に大きく影響する
・ 国の省エネ基準レベルでは不十分、HEAT20のG2グレード(6地域でUA値0.46)程度は確保したい
・ せっかくの断熱性能も気密性能(C値は1.0未満としたい)が伴わないと発揮されない

などの内容はご存じのことと思います。

ですが、その初期性能が将来に渡って継続するかどうか、という点にまで気を配られているでしょうか?

一般的な木造住宅(軸組工法を想定)を例として取り上げます。建築基準法では耐震性能は最低限の基準として「極めてまれに発生する大規模な地震が起きた際、損傷はするが倒壊しないよう(一度は)耐えて居住者の生命を守る」レベルを想定しています。

そのレベルを「耐震等級1」とすると、国が定める「住宅性能表示制度」では「耐震等級2」、「耐震等級3」が設定されており、それぞれ耐震性が等級1と比べて1.25倍、1.5倍に向上するレベルと位置付けられています。より安全性の高い「構造計算(許容応力度計算)」による等級もありますが、まずは耐震性能には3つの等級がある、とご理解ください。

直近の大地震、2016 年の熊本地震では、一番の激震エリア「益城町」で1971棟の調査の結果、「耐震等級3」で建てられた16棟については無被害または軽微な被害で済み、その後も「全棟住み続けられている」という事実が明らかになりました。

その他の住宅では築年数や仕様にもよりますが、一部倒壊から倒壊までの範囲で、何らかの被害がかなりの割合で発生しています。詳細は、「(一社)くまもと型住宅生産者連合会」が作成した「耐震等級3のススメ」という資料がウェブで公開されていますので、ぜひ目を通してください。http://kumamoto-fukkou.or.jp/datafolda/data/kumamoto.pdf

住み続けるためには、「耐震等級3」とすることがポイントだとお分かりいただけるでしょう。

※関連記事はこちら

木造住宅の耐震性を発揮するには、構造的に必要な位置・量で設置された「耐力壁(たいりょくき)」が、地震による横揺れ(水平力)に耐えることが重要です。

その際、建築基準法(等級1)では、各階の耐力壁の傾きの最大量は壁の高さの1/120まで許容されています。その範囲(弾性域)までの変形であれば、復元できるという考え方からです。

これは、たとえば壁の高さが2700㎜の場合、変形量は最大で(2700/120=) 22.5㎜になる可能性があることを示します。ということは、見かけ上は繰り返し起こる地震に耐えても、壁の内部で気密シートの破損や断熱材の剥離がどこかで起きる可能性があり、その程度や範囲が大きい場合は、断熱・気密性能が低下しますし、室内から水蒸気が侵入すれば冬場の壁内結露等につながる可能性もあるということです。

このような可能性をできるだけ小さくするためにも、建物の変形を少なくしておくことが重要です。「耐震等級3」なら「耐震等級1」より1.5倍強いので、理論上の可能性としての変形最大量は(22.5/1.5=)15㎜にまで少なくなると考えられます(実際の計算による評価では2倍以上は強くなるので、実際の変形も元の半分以下になると期待できます)。

加えて災害時には
・地震に耐えうる強さ
・ 停電時にも屋内で暑さ・寒さをしのぐことができる

という「シェルター」としての性能が求められることを考えても、「省エネと耐震はセットで確保する」必要がお分かりいただけると思います。「当たり前」のレベルが高いつくり手を選びましょう。

意識の高い工務店や設計事務所は、最低限の省エネ基準や建築基準法レベル以上の高い性能「当たり前」として家づくりに取り組んでいます。しかし各社のホームページを見ても、どのような性能の家づくりをしているのかまでは、なかなか分かりづらいことが多いのが正直なところです。

加えて、この情報過多な現在、一般消費者の方々から「何が正しいのか迷う」、「性能探しで疲れる」といった声が聞かれるのも悩ましい状況です。

そこで、全国の約300社からアンケート回答いただいた内容を「全国業者リスト」としてまとめ、第一弾として2020年9月に「構造塾」YouTube 動画で発表しました。

特徴としては、家づくりに必要な要素の中から「耐震性能」と「断熱・気密性能」の2つに特化して共通の指標で示し、各都道府県別で各社がどのような家づくりをしているかが一目で分かる、というものです。

家づくりを検討中の方はぜひご参照いただき、工務店選びの参考としていただけると幸いです。さらに掲載数を増やしたリストの第二弾はこちら。

なお、この記事は高断熱住宅専門誌「だん」08に掲載しています。高断熱住宅に関心をお持ちの方はぜひ本紙をご覧ください。

★新刊はこちら


💛
生活者向けの家づくり・リフォーム情報を発信しています。プロ向けの住宅専門紙「新建ハウジング」が運営。プロ向け専門紙ならではの確かな情報を、わかりやすく伝えていきます。