見せる庭から生活の庭へ、和モダン住宅の庭
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見せる庭から生活の庭へ、和モダン住宅の庭

庭づくりは、環境、敷地、建築のバランスとライフスタイルが深く関わります。庭をつくる際の基本となる6つのポイントを造園家の川村善之さんに聞きました。
(和MODERN11(2018年12月発行)掲載)

b_和モダンの庭B

緩やかな段差をつけたアプローチのスケッチ

1)基本は「遮る」「区切る」「グランドカバー」

「遮る」「区切る」「グランドカバー」が庭をつくる際の基本です。「遮る」とは、隣家や道路からの視線を遮ること。多くの場合には常緑樹が使われます。「区切る」とは、敷地内の外部空間の中で、アプローチ・主庭・勝手口などと区分して生垣・塀などで区切ること。そして「グランドカバー」とは、土埃が立たないよう、芝などを地表に植えることです。

その基本をおさえた上で、敷地の置かれた環境、敷地と建築のバランス、さらには住まい手のライフスタイルによって、どのような庭をつくるかを考えることになります。欧米では敷地も広く、建物が外部に対して閉鎖的なので、敷地を外部から遮る塀や生垣はあまり見られません。一方、日本では敷地が狭く建物が開放的なので、塀や生垣などによって隣家や街路から遮ることが重要になってきます。

広い土地を確保するのが難しい現代では、限られた敷地にいかに良い庭をつくるかという視点も重要です。土地が広くなくても、多大な費用をかけなくても、良い庭をつくることはできます。例えば、植栽を植えることによって距離感が出てくるので、それを利用することによって広さを感じさせることができます。日本の庭園の素晴らしいところは、狭い敷地でも広く見せるというところにあると考えられます。

2)「行」の佇まいの庭を

庭木は「雑木にはじまり、雑木に終わる」といわれるように、その地方で手に入りやすい樹木や落葉樹も使って、季節感を大切にしながらもつくり過ぎず、できるだけ自然な姿にするのがよいでしょう。

生活の場である一般の住宅は「真・行・草」の「行」の世界と考えています。したがって、住まいとしての庭も「行」であるのがふさわしく、一般的な住宅にとっては松の木が植えられるような「真」の庭では、建物とのバランスに異質なものが感じられるのではないでしょうか。

往々にして建物ができてから庭について検討することが多いようですが、庭と建物の調和が重要なため、両者を一緒に考えるべきです。家の中から開口部を通した庭の見え方を考えるなど、建築の設計に際しては外部空間に対する計画もあわせて考えていくのがいいでしょう。

3)見せる庭から使う庭へ

以前はお客様に見せる庭という傾向が強かったのですが、現在では自分たちが使う生活の庭、すなわち室内の延長の外部空間として考えることも必要です。ただ、「バーベキューが庭でできるように」などの希望があっても、実際はなかなか行う機会がないこともあるようです。当初の希望通りの使い方にならない場合も考え、できるだけフレキシブルにしておくのがいいでしょう。

庭はつくり方によっては手入れがずいぶん必要になり、時間や費用がかかることにもなります。芝刈りや水やりも最初は楽しんでできますが、手が回らなくなることも多いようです。手入れに時間をかけることが難しい場合には、手間をかけずにすむという点にも考慮して、庭をつくりたいものです。

4)庭木が生長した姿をイメージする

庭に植える樹木は生き物なので、当然ながら生長します。生長した姿を考えながら、庭を考える必要があります。庭をつくるとなると、どうしても庭木を多く植えようとする傾向がみられますが、生長した姿をイメージして好きな木を最小限植えることが重要です。
ーーー続きは本誌にて

5)門の立派な家から、門のない家へ

古くは、門は住宅の格を見せつけるものでした。いまや「楼門に門被りの松」や「門の立派な家」は少なくなりました。その後、門前の庭も門に似合う造園意匠として多くの表現がなされ、塀の一部に軽快に瓦屋根をのせた親しみのある、威圧感をもたないものになりました。

造園意匠も重厚な常緑樹ではなく、軽快で明るい落葉樹木が使われます。多く植えるのではなく、株立ち・武者立ちと呼ぶ樹形を使い、門と調和しながら全体を見せています。
ーーー続きは本誌にて

6)主庭のつくり方

主庭は住まいの一部でもあるため、一面の芝生、一本の木でも重要であり、自然現象を景色として楽しむものでもあります。和モダンを感じる主庭のつくり方は生活動線、家族構成で各種考えられます。(略)

和モダンの住宅に合う作庭例は、次々とつくり出される新しい素材により、多くの意匠が考えられています。古いと思われる意匠も素材によって新しい雰囲気を醸し出します。

a_和モダンの庭A

敷地の置かれた環境、敷地と建築のバランス、
さらには住まい手のライフスタイルによって
庭は考えられます。

c_和モダンの庭C

内露地を室内に取り込んだ茶室のスケッチ。

上記の記事は「和MODERN11 庭から考える家づくり」に掲載しています。そのほかにも、荻野寿也氏による建築に寄り添う庭づくりや、京町家の庭、建築家事例として風景に溶け込む住まいなど、見どころ満載です。ぜひご覧ください(^^)/

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