人生100年時代の安心住まい|自然災害リスク
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人生100年時代の安心住まい|自然災害リスク

「災害時に強い家」というと、どんな揺れにでも耐える、洪水が起きても流れない、あるいは竜巻でも吹き飛ばされない、そんな家を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、自然災害に完璧な家など存在しません。住まいと自然災害を今、どのように捉えるべきでしょうか。危機管理の専門メディア「リスク対策.com」編集長の中澤幸介さんに聞きました。

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どんなリスク?

ライフラインの途絶
地震や台風、豪雨などの災害が起きると、電気や水、ガス、通信など私たちの生活を支えてくれているライフラインが途絶します。

例えば、2019年9月に本州に上陸し千葉県南部を中心に甚大な被害を引き起こした台風15号では、関東広域で最大約93万戸の停電が発生し、中には復旧まで数週間を要し、続いて上陸した台風19号によりさらに復旧が長引いた家屋もあります。

近い将来に発生が懸念されている首都直下地震では、電気やガス、水道が1週間から1カ月にわたって使えなくなることが想定されています。首都圏に限らず、地方都市でも災害が起きれば、早くて数日、長ければ1カ月程度、復旧に時間がかかることは珍しくありません。

つまり、どのような災害であれ、停電が1週間程度続くことは今後、最低限、考えておくべきリスクなのです。さらに、災害が発生すると道路が使えなくなり物流が停滞するため、ガソリンや灯油も入手しにくくなります。

停電が続くと、生活に支障が出ることはもちろん、命を落とすリスクも高まるのです。

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家でも熱中症と低体温症に
すでに記憶が薄れつつありますが、台風15号は9月初旬の暑い時期でしたから、停電によりエアコンが使えなくなることで熱中症患者が発生し、1人が命を落としました。

厚生労働省の調査によると、毎年数百人が熱中症で亡くなっていて、近
年では1000人を超える年もあります。2018年は7月だけで1000人の大台を超えました。2018年の西日本豪雨の死者が行方不明者を含め271人でしたから、その4倍もの方が毎年命を落としていることになります。

同じく厚生労働省により発表されている数字ですが、低体温症による死者は、なんと熱中症を上回る勢いで増えていて近年はほぼ毎年1000人を超えています。異常気象も考えられますが、年齢別にみると、熱中症、低体温症とも60歳以上の方がかかる割合が高く、高齢化が進んだことが一因と考えられています。熱中症も低体温症も今や災害と言っても過言ではありません。  

しかも驚くことに、熱中症・低体温症とも、屋外より家庭での発生が多い傾向にあります。高齢者にとっては、日常的に室内環境を一定の適温に保つことが健康を、命を守る最低条件と言えそうです。


どうやってリスクに備える?

災害による被災時にどのくらい施設としての機能が保てるかという議論は必要ですが、ここでは「ライフラインの途絶」という災害時のリスクに対して強い家を考えてみたいと思います。

高断熱高気密が命を守る
停電時に限りませんが、健康を、命を守るうえで有効なのが、高断熱高気密化によって室温を適温に保つことです。

気密性能が低い(=建物に隙間が多い)、また断熱性能が低い(=熱の移動がしやすい)と、自然室温は外気温の影響を受けやすくなり、たくさんエネルギーを使って(=たくさん光熱費を使って)冷暖房しないと暑く・寒くなります。

光熱費が高いと、それを節約するために冷暖房の使用を抑えようとする方が多いのではないでしょうか。高齢者の方ほどその傾向が高く、それが高齢者に熱中症や低体温症が多い一因になっているかもしれません。

災害で電気やガスなどが止まると、そもそも冷暖房ができないので、断熱気密性能が低い家ほど熱中症・低体温症のリスクが高くなります(冬なら灯油を備蓄しておくことで暖をとったり、夏は非常用発電機によりエアコンを動かすことも可能ですが)。

平時から、少ないエネルギーで家の中の温度を一定に保つことができる高断熱高気密住宅は、災害時にも生活者の命を守る有効な機能を備えた家と言えるでしょう。

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被災への備えを万全に
災害時は、明かりがつかない、電気炊飯器が使えない、冷蔵庫が使えない、水道が出ないため料理ができない、洗濯機が回せない、お風呂も入れない、トイレの水も流せない、テレビも見ることができない―そんな世界が突如として目の前に現れます。自分だけならともかく、小さなお子さんやお年寄りがいる家では、その方々の健康管理もしなくてはいけません。


※本記事は雑誌「だん05」に掲載されています

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