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窓を美しくしつらえることで住まいの質を高める。建築家・甲村健一の和モダン住宅の窓のあり方

曖昧に内外が連なる和モダンの窓

住宅にとって「窓」は雨や風を防ぎ、光や空気を制御し、地域の風土や気候に適応する機能を持つとともに、内と外との境界として重要な役割を担っています。

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建築家・甲村健一さんが考える「和モダン住宅」の窓と開口について、解説していただきました。

窓を美しく設えることは住まいの質を高めるといっても過言ではありません。「和」の窓は平屋を基本とした日本の住まいにおいて外部(庭)や中間領域(縁側)との関係を等価にする軽やかさを持っていました。現代では高断熱・高気密や朽ちないアルミ製の窓が主流となり、機能性の向上は目覚ましいですが、窓枠が強調され外部との関係性は薄れてしまっているように感じます。しかし、機能性は向上させながらも元来、窓が持っていた曖昧さを表現することで内外が連なる「和モダンの窓」をつくることが可能であると考えています。

和モダンをつくり出す窓を4つのテーマに分けて考察しました。
1 切り取って魅せる窓
2 つなげて広げる窓
3 内外から魅せる窓
4 外を映す窓

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1 切り取って魅せる窓
①仕上材で切り取る
陶器や石、和紙や畳、木板といった仕上げ材で窓まわりの端部を切り取ることで、あたかも窓という境界が存在しないように感じさせることができます。窓の枠色、仕上材や色を揃えることで、より効果が高まります。
切り取った先にどのような借景を用意するかを考えると同時に、何を隠すかという視点も重要視しています。見るものを取捨選択し、和を感じる仕上材で隠し、切り取ることが和モダンな窓を生み出すと考えています。

②建具で切り取る
建具とはすだれや欄間、格子や障子といった古くから日本家屋の中で用いられ、光や風、視線をコントロールするために必要不可欠であったアイテムを指します。

③フレームで切り取る
もっともポピュラーな手法として知られるピクチャーウィンドウです。額縁を設けることで、借景をより強調することができます。空間の中で用いられている障子や床、壁の素材と統一することで、華美ではなく和モダン空間にも溶け込みやすくなります。

④床・壁・天井で切り取る
外部要素である窓枠や軒をまったく感じさせず、内部要素である床・壁・天井のみで切り取ることで、よりダイレクトに借景と対峙することができます。

2 つなげて広げる窓
①水平につなげる
窓を多角的な方位にしつらえ、水平方向のつながりをつくることで、一年を通じて内部への日の届く時間・角度に変化が起き続けます。日の変化は時間や季節の移ろいを知らせ、庭木の色づきとともに四季を彩ります。屋内空間、特に天井に素材感を持たせることで、床に反射した柔らかい光が天井の素材をより引き立たせ、多様な表情を生み出します。

②天と地をつなげる
窓の一番の役割は光を取り入れることです、床・壁・天井のどこにどのような開口を設けることがその敷地・方位・計画にとって最適なのかを探り続けます。

3 内外から魅せる窓
開口部は一般に窓と同義として扱われますが、正しくは床・壁・天井の一部が開放された部分をいいます。内からも外からも魅せる開口部を設えたり、内からはガラスも窓枠もない開口を設けて、山などの雄大な景色を見渡せ、草木や虫の音を感じられるような空間をつくり出しています。

4 外を映す窓
浴槽も床への開口として捉えています。浴槽はその機能のみならず、外部を映し出す水鏡として空間に広がりを与え、波紋や水のゆらぎを感じる癒しの居室となります。

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(photo/鈴木研一)

建築家・甲村健一さんによる「和モダンと窓と開口を考える」の解説や事例は『和MODERN12』に掲載しています。※本記事は再編集したものです





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