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誰もが潜在的に求める、住空間の快適さをかたちにした、建築家・堀部安嗣氏の「南に開く家」

建築家・堀部安嗣氏が「2020毎日デザイン賞※」を受賞されました。堀部氏の作品に共通するのは「居心地のよい空間」「人の確かな居場所」といったデザイン力。それらが高く評価されたそうです。

※毎日新聞社が主催した賞で、グラフィックやインテリア、建築など、あらゆるデザイン活動で年間を通じて優れた作品を制作・発表し、デザイン界に大きく寄与した個人やグループ、団体を顕彰する。

今回は、「和MODERN13」(2020年12月発行)に掲載した、堀部氏設計の心地よさと住宅性能を共存させた住宅「南に開く家」を紹介します。

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現代のエコ設備と意匠を融合させる。

今回の家の大きなテーマとなったのは「パッシブとアクティブの共存」でした。太陽や風などの自然エネルギーを上手に利用して、暖かさや涼しさなど、快適性を得るパッシブデザインに対し、アクティブデザインを空調などの設備を積極的に利用して、空気を制御していきます。

「都市部での暮らしを考えたとき、パッシブデザインだけでは、住まい手に負担を強いることになりかねず、アクティブデザインだけでは、古来より日本人が体感してきた心地よさを得ることはできない」と考えた堀部氏は、双方へのバランスよくアプローチすることで、プランを導いたそう。

「これまでのいわゆる『エコハウス』は、断熱性能を追求することで、どこか重苦しい雰囲気が強調され、特に開口部の自由度が制限されてしまうことが難点だった」という堀部氏。そのため、今回最も力を注いだのが断熱気密と意匠を融合させた「軽やかな」開口部のデザインでした。サッシラインの内外に張り出す壁柱を設え、サッシをその間にセットすることで、その存在感を減らしたそう。夏場の太陽熱を調整できるよう、1階には電動のオーニング、2階には電動のブラインドを取りつけていますが、壁柱の存在により、外部からもさほど仰々しくは見えなくなりました。

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普遍的な住まいのかたち。

また、住まい手のライフスタイルにも配慮した、間取りや設備を導入しています。素材に関しても、内部のへ壁材には調湿性に優れた砂漆喰を使用。光を受けた独特の陰影とやわらかな風合いが上質な雰囲気を醸し、汚れや傷を目立たせない効果もあるそう。

「クライアントの希望や住まい方、価値観にふさわしい家をつくりたいという気持ちと同時に、一方ではどんな人でも住みこなすことができる普遍性のある家をつくり出したいという思いがある。趣味趣向に偏りすぎず、柔軟性を持った住空間の方が10年先、20年先まで変わらず愛され続けると考える」という堀部氏。

「現代のエコ設備と意匠を融合させ、誰もが潜在的に求めている快適さを実現することは、その家の永久不変的な財産にもなる」(堀部氏)と、住まい手に肌で感じられる心地よさと幸せをもたらすことを探究し続けています。

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(photo/小川重雄・堀部安嗣)

設計/堀部安嗣建築設計事務所
施工/水澤工務店
造園/ふじい庭苑

堀部安嗣氏設計の「南に開く家」は、「和MODERN13」に掲載しています。この号の特集は、「いま」と溶け合う。和を現代に生かす設計のポイントやその事例がたくさん掲載されています。ぜひご覧ください!。


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